ピクチャーミュージックとは、色彩や造形の組合せによる音楽にも例えられる絵画の事であり、抽象絵画ではあるが、特に音楽的要素を持ち、純粋に美的感覚に基づくものである、ピクチャーミュージックには色彩や造形において、ある程度法則性があり、言葉によって説明出来ない面もあるが、説明出来る部分もある。しかし、それは規則でもなく、絶対的なものでもない。

例えば、調和、均衡、比例、対象、リズム、強調、対比、という美の要素につけ加え、形や色彩には、それぞれ感じさせるものがある。球や円というものは、平和、円満、幸福、喜びなどを感じさせ、始めもなく終わりも無く、永遠を感じさせる場合がある、そして、円は二次元の丸であり、球は三次元の丸である。円や球は、自由と流動性を感じさせ、優しさと愛を感じさせるものであり、女性的である。それに対して、四角や角ばったものは男性的であり、安定感があり、逞しさや力強さを感じさせる。

又、三角形は鋭敏で強固な安定感があり、尖った形のものは、強力な鋭さを感じさせ、我々の心に突き刺さるものを感じさせる場合がある。くだやパイプのような形は、水道管やガス管や電線などを連想するように、何かを配送し供給する物や連結を感じさせる場合がある。指紋のような細かい線は緻密な情熱と流動感や、宇宙内に秘められている生命力、そしてあらゆるタイプの音波や電波や振動を、感じさせるであろう。歯車のような形は活発で活動的で勤勉なものを連想させる。円柱は将来に向かって成長するかのように、希望を感じさせるものとなる。

色彩にもそれぞれ異なった役割が有り感じさせるものがある。赤は愛や情熱を感じさせ、青は理性や知性や冷静さを感じさせる。緑は爽やかな心のいやしをもたらし、黄色は光や希望を感じさせ、紫は神秘的なムードを漂わせる。ピンクは夢とロマンを感じさせ、灰色や茶色は多くの日本人が好む、詫び、寂、渋み、を醸し出す。黒は暗闇や深みのある落ち着きと厳粛を感じさせ、白は正義や清さや純白さを感じさせる。

これらの事柄は法則的な説明ではあるが、規則でもなく絶対という事でもない。形や色彩のとらえ方や感じ方は人によって様々であり、異なったとらえ方をする人がいるならば、それはそれで良い事である。世の中には異なった個性や好みを持つ人がいて、感じ方やとらえ方が様々であるために、生活に変化が有り、楽しく幸福なものにする事ができる。これら凡ての法則性を十分に自由に生かし、最高度の美の表現を行う事、これが音楽にも例えられる色彩と造形上の芸術、即ちピクチャーミュージックである。